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しく解析した結果、全例においてRhC抗原陽性であることが判明した。130例のRhD陰性例の中で、RhC陽性例は52例あったことを考慮すれば、RhD(−)、RhC(+)例の69.2%にRHD遺伝子を認めたことになる。日本人集団のRhD陰性例のうち、RhC陽性例は18%と報告されており19)、この値を用いて上記の百分率を補正すると12.5%となる。すなわち、日本人ではRhD陰性集団の1割以上がRHD遺伝子を有すると予測される。ヨーロッパでは、RHD遺伝子の有無によるRhD遺伝子型判定法は、すでに一部の施設で出生前診断に導入されている。しかし、ここに示した成績は、同方法によるRhD遺伝子型判定を日本人に導入するには時期尚早であり、今後解決すべき重要な課題を有しているように思われる。白人種においては、RhD陰性例のほぼ全例にRHD遺伝子の欠失が報告されている12)。今回の分析により、RhD陰性の原因をみると明らかな民族差があり、加えてRhD陰性化機序には単に遺伝子欠損によるものの他に、他の因子の関与が強く示唆された。RhD抗原の赤血球膜発現に際しては、複数のペプチドによるコンプレックス形成が必要」と考えられているが4)、RHD遺伝子(+)にもかかわらずRhD抗原(−)となる例においては、そのいずれかが欠損していることも予想され、今後の研究が望まれる。

 

 

 

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